ニュースの概要
神戸市東灘区の御影は、阪急・JR・阪神の3駅が近くに集まる、関西でも指折りの高級住宅地として知られる。そのJR高架下に、スーパーのサンディが「サンディ御影店」を9月24日に開業した。地域ニュースサイトの号外NETが伝えたもので、同サイトは店を「激安スーパー」と紹介している。店の駐車場は10月1日から使えるようになり、開店からおよそ1週間は、まず徒歩や自転車の客を迎える形でのスタートとなった。高級なイメージの強い街に、価格の安さを前面に出す店が入るという組み合わせが、地元の関心を集めている。
引用元: 【神戸市東灘区】高級住宅地・御影に“激安スーパー”! JR高架下に「サンディ御影店」が9月24日オープン♪ 駐車場は10月1日から(地域ニュースサイト号外NET)
分析・見解
高級住宅地でも「安さ」が求められる理由
御影といえば、大きな邸宅と落ち着いた街並みの印象が強い。だが、豊かな街に住む人が、毎日の食材まで高い店で買うとは限らない。むしろ余裕のある世帯ほど、牛乳や卵、パンのような定番品は安く済ませ、お金をかけたい品だけに予算を振り分ける傾向がある。住宅地の格と、日々の買い物の財布のひもは別物だと考えたほうがよい。
御影の駅周辺は、高価格帯の食品店やこだわりの専門店が目立つ一方で、普段使いの価格帯の店は限られていたと考えられる。そこに「激安」を掲げる店が入れば、近隣の住民だけでなく、通勤客や学生の需要も取り込める。
高架下という立地が出店を後押しする
今回の舞台はJRの高架下である。高級住宅地は土地が高く、広い売り場を新しく確保するのは難しい。高架下は鉄道会社が管理する細長い空間で、柱が並ぶなど設計上の制約はあるものの、駅に近く人通りも多い。賃料を抑えやすければ、その分を商品の価格に回せる。
似た例は各地にある。東京の上野・御徒町にあるアメ横は、高架下の商店街として、安さと活気で全国から客を呼んできた。低価格の食品店が高架下に入る例は各地で見られ、高架下は「安く売る店」と相性のよい場所だといえる。
駐車場の開始が遅れたことの意味
サンディ御影店は9月24日に開業し、駐車場の利用は10月1日からとなった。約1週間のずれがある。開店直後は、徒歩や自転車で来る客を中心に迎えたことになる。
単なる準備の都合かもしれないが、駅前の店では車より徒歩の客が主役であることも示している。道が狭く一方通行も多い住宅地では、車の客が一度に増えると周辺の渋滞や騒音が問題になりやすい。客を段階的に受け入れる方法は、近隣への配慮としても理にかなっている。
安さの先に問われる品ぞろえと鮮度
安さは来店のきっかけにはなるが、通い続ける理由にはなりにくい。リピートを左右するのは、野菜や魚の鮮度、総菜の味、店員の対応である。御影には、地元で長く続く個人店や既存のスーパーもあるだろう。新店は価格で、既存店は品質と接客で応える。この競争が自然に起これば、得をするのは住民である。
ただし、価格競争が行き過ぎれば、小さな個人店が立ち行かなくなる恐れもある。街の食文化をどう守るかも、静かに問われている。
ビジネスへの影響
近隣の小売店と飲食店が見直したい点
激安店の開業直後は、客が価格を比べて動く時期である。近隣の食品店は、同じ商品で張り合うのではなく、相手が置きにくい強みを一つ決めたい。たとえば、朝に届く地元の野菜、対面で相談できる精肉、名物の総菜などである。
飲食店にとっては、スーパーの総菜や弁当が競合になる一方で、駅前の人通りが増えるという追い風もある。昼の集客だけでなく、夜の予約や持ち帰りなど、スーパーと重ならない時間帯と商品を磨くのが近道だ。
不動産や店舗開発の担当者が読み取れる需要
高級住宅地でも、日常の買い物が便利なことは物件の魅力を高める。駅近の物件を扱う事業者は、新店の開業を「暮らしやすさ」として案内できる。買い物客が増えれば、周辺の空き店舗への関心も動きやすい。
鉄道会社の高架下や遊休地を持つ企業は、「高い街だから高級店」と決めつけず、住民の日常のニーズを調べてからテナントを選ぶ視点が要る。
自社の商圏を点検するための3つの問い
業種を問わず使える点検を挙げる。1つ目は、自社の客は車で来るのか、歩いて来るのか。2つ目は、街のイメージと客の実際の財布事情にずれはないか。3つ目は、価格以外に選ばれる理由を一言で言えるか。
この3つに答えられれば、新しい競合が現れても慌てずに済む。まずは開業後1か月ほど、近隣の来店数や客層を自分の目で数えるところから始めるとよい。
